防衛相、お粗末計算ミス

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2019.06.21 日経新聞1面のコラム“春秋”より。

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サイン、コサイン、タンジェント。
振り返れば、あれが高校数学のつまずきの石だった。
サインは「咲いた」。
コサインは「コスモス」。
咲いたコスモス、コスモス咲いた--。
三角関数の意味も理解せず、テストの直前に語呂合わせの公式の暗記に走ったものである。

何の役にたつのか。
と嘆き、教科書を放り出そうとしている皆さん。
挫折した身で偉そうなことは言えないが、ぜひ学んでほしい。
社会の広い領域で必要な知識なのだから。

歴史をひもとけば、江戸幕府は黒船来航による沿岸警備のため、外来の三角関数表を幕臣に筆写させたという。
船までの距離を測り砲撃するためだ。

国防を担う組織の失態である。
地上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」の秋田市への配備をめぐり防衛相が作成した調査の報告書だ。
別の候補地から山までの距離と、山の高さから角度を導く三角関数の計算を間違えた。
実際は4度の仰角を15度と算出。
レーダーの障害になるとして「不適」と結論づけた。

計算の前提となる地図の縮尺を間違えたことが原因だった。
でも待てよ。
仰角が15度なら山の高さは?
高校の教科書に類似例題が載っていた。
解けそうだ。
新井紀子さんの著書「生き抜くための数学入門」は大切なものを守り、平和に暮らすためにこそ数学は必要と説く。
怪しげな統計もはびこるご時世だ。
勉強しよう。
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さすが日経新聞のコラム、知性にあふれた文章ですね。
三角関数を習い終わった塾生に、記事の切り抜きを読ませています。

江戸幕府のくだりについては、私も知りませんでした。
江戸時代は「数学」ではなく、「和算」という日本独特の文化が発展していました。
今の高校数学以上の内容、理系の大学で学ぶようなことも扱っていました。
外来の三角関数表を即座に使いこなせたあたり、文化水準の高さがわかりますね。

それに対して、防衛相。
地図の縮尺を間違えた・・・中高生の定期試験の答案ではあるまいし。
200年以上前の伊能忠敬さんの足元にも及ばないレベル。

お役人さん、数学と地理、中高生に教えられますか?
大事な報告書、検算とかしなかったんですかね。
かかわった方が誰も気づかなかったなんて、考えられません。
三角関数以前の問題、中学数学の相似あたりから勉強し直してほしいです。

塾生にも三角比・三角関数の授業のときにこの記事を読ませています。
無味乾燥とも思える三角関数の公式群。
覚えるだけでは意味がない、この記事のように間違って使ってしまうと問題外。
教科書に載っている意図を理解してくれると嬉しいですね。

東大は1999年に以下のような入試問題を出題しています。
(1) sinθ,cosθ の定義を述べよ。
(2) 加法定理を証明せよ。

大学への数学 入試の軌跡 東大(東京出版)より
画像の①番、文理共通問題です。
右上のコメントにもありますが、歴史的ともいえる良問です。
「覚えるだけではダメですよ、意味も知っておいてください」という東大のメッセージですかね。

話はそれましたが、日経新聞の記事の最後に紹介されている新井紀子さんの著書
「生き抜くための数学入門」
を読みたくなった。
絶版のようで、ネットで探しても中古もほとんど出回っていない。
中古で手に入るまで、気長に待つしかなさそうだ。

8/4追記
「生き抜くための数学入門」、入手しました!!
私も、勉強しよう。
もちろん塾生にも紹介しています。

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