「東大の入試問題による抵抗」~変わる大学入試を読んで思うこと~

西宮北口の数学専門塾インテグラルです。
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日本経済新聞に連載された「変わる大学入試」を読んでの感想です。
前回(下)では国の改革に有力大が“抵抗”を示しているという記事を書きました。
変わる大学入試

実際の入試問題を紹介しながら、東大の抵抗を紹介します。

ゆとり教育が導入され円周率がおよそ3と教えられていた時代に、
東大が入試問題で

円周率が3.05より大きいことを証明せよ。

という問題を出題しました。

日本一短い入試問題、中学生でも解ける・・・など話題になりました。
東大の出題の真意はわかりませんが、私は以下のように思います。

直径1の円に内接する正六角形の周の長さ(図の赤線)が3です。
それに対して円周(図の青線)が大きいのは図形的に明らかです。
それをおよそ3(つまり円周と内接正六角形の辺の和がほぼ同じ)と教えてよいのか
というメッセージを、東大は入試問題を通じて世に問うたのではないでしょうか。

また現在の新課程(新課程のセンター試験は2013年から)に移行した際は、こんなことがありました。
国が決めた新課程の数学Aは場合の数と確率、整数の性質、平面図形の3単元から2単元必修となっています。
国が作るセンター試験でも、上記3単元から2題選択となっています。
国の方針に従えば、確率を履修しなくても、高校は卒業できるのです。
しかし実際は、進学校ならどこでも全ての単元を教えています。
そのおかげで本来数学Ⅰの授業の中で数学Aを扱ったり・・・
高校の先生も苦労されているようです。

それに対して東大はすぐさま以下のような声明を発表しました。
「数学Aについては、場合の数と確率、整数の性質、平面図形全てを出題範囲とする」と。
上記3単元はどれも重要単元であり、すべて必修にして欲しいというメッセージではないでしょうか。
一方、数学Ⅰで必修となったデータの分析こそ数学Aに回して、選択科目にすべきではと思います。

多くの進学校はセンター試験である一定のレベルをクリアすることを目標にしています。
東大や京大に毎年何十人という合格者を出す最難関校では、
クリアする目標が東大や京大の入試問題となります。
国立大が入試問題のレベルを下げると、高校生全体の学力低下は避けられません。

国の改革に対して、入試問題で抵抗する。
さすがは日本の最高学府「東大」、抵抗の仕方も知的で好感が持てますね。
東大や京大に限らず、国立大は「高校生全体の学力低下を避けねばならない」という
使命感のようなものを持って入試問題を作っていると思います。

それに不快感を示す文科省の幹部は、教育の現場をどのように思っているのか・・・
国の方針と教育現場のひずみをどこまでを知っているのか・・・
最適解を探し出すのは難航することでしょう。

ゆとり教育の失敗のように、子供たちにしわ寄せが行かないことを願います。

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